介護施設での虐待が社会問題になっている。
利用者をベランダから投げ落とした事件は、特異な事件だが、
その背景にある職員の過酷な勤務状況やストレス…
こうしたことを生じさせる介護現場の構造的な問題がクローズアップされている。
介護現場で働く小生の知人から聞いた話。
「夜勤中、用事もないのに(その知人からすれば)、たびたび呼び出す人を…
『殺したろか』と思ってしまうことがある」と。
その知人は、週に夜勤が2~3回あり、それも、10人程の利用者に、彼一人とのこと。
「(殺したろかと)思うだけやけど」と、その知人は、静かに笑ってつけ加えた。
上記の知人も、実はその一人なのだが、
介護施設は今、慢性的な人手不足に陥っており、
経験が無い人でも雇用しないと経営できない事態にある。
介護施設職員の平均月収は、全産業平均を11万円下回る約22万円。
それが大きな原因としての離職率の高さ(16%を超える)。
だから、介護経験が無い人でも採用しないと回れない……という悪循環。
在宅介護を担う職員には「初任者研修」が義務付けられているが、施設職員にはそれが無い。
にもかかわらず、政府は昨年4月、事業者に支払われる介護報酬を、過去最大に近い2.27%引き下げた。
これでは、事業者(施設)は、職員研修のための費用捻出に困窮する(後手にまわる)。
「介護を社会全体で担う」という介護制度導入時(2000年)の方針・心意気は何処へ行った!?
「一億総活躍社会」は、アドバルーンだけなのか!?
「高齢者虐待」は、他人事ではない。我が事である。