「当事者、ふたたび」は、震災被災者を見つめました。
「当事者、みたび」は、重度障害児者を見つめます。
……昨日3月16日、長浜市内で開催された
『湖北圏域重度障害児者・医療ネットワークフォーラム』に参加しました。
パネルディスカッションのパネラーの1人、
重度障害児者当事者の思いを、
そのままお届けします。
「……実家で、ある意味、なに不自由なく暮らしていました。
ただ〈自己選択・自己決定〉とはほど遠く、
両親や兄弟の都合に左右されていました。
例えば、休日に行きたい所があっても、
親の顔色を気にして、それが言えなかったり、
欲しいものがあっても、
代わりに買ってきてもらったりしていました。
でも、同世代の友人は、映画や買い物などに、当たり前に行っている。
なのに、なぜ、自分は出来ないのかと疑問を感じつつも、
障害があるからしかたない……いや、関係ないのだ。
と、自分に言い聞かせていました。
僕は、両親に初めて「ヘルパーの利用をしたい」と伝えたのですが、
「人の手を借りなくても親がいる」と反対されました。
「自分の子は、自分で」という考えが強くあり、
それがずっと続いたことによって、
僕は、その空気を読むようになってしまっていました。
……………
僕自身が〈自立生活〉をして、特に変化を感じたのは、
親子関係です。
最初は理解が得られず、
親との距離や関係がギクシャクしたこともありました。
今となっては、それもいい思い出です。
自立して、初めての年末、
実家に帰ろうと、勇気を出して、母に電話をした時のことです。
「あのー、お正月に帰ろうと思ってるんやけど」と僕。
すると、「帰って来ても、誰もいないで。旅行にいくから」と言われ、驚きました。
もしかして、僕より、羽を伸ばしているんじゃないか(笑)」
……このパネラー(重度障害児者)は、
文字盤による意思表示の方法で、
自らの思いを、私たちに伝えてくれました。