医療法や介護保険法など、19の法律を一体化した
『地域医療・介護総合確保推進法案』が参議院に送られ、早晩に可決・成立します。
国会での論点を整理してみたいと思います。
その第一の争点は……
介護保険の予防給付、つまり、訪問介護・通所介護を
国の管轄から、市町村の地域支援事業に移行する、という見直しでした。
特別養護老人ホームへの入所者を原則、要介護3以上、というのもありました。
民主党は、「要支援者切り」ならびに「認知症の予防を損なう」の観点から、
一貫して反対を続けてきました。
民主党のこの指摘に、安倍首相は……
「既存の介護サービス事業者による専門的サービスに加え、
元気な高齢者をはじめ、住民が担い手として積極的に参加する仕組みなど、
多様なサービスを提供して、地域の支え合いの仕組みづくりを強化していく」と答弁しました。
厚生労働省は、家事援助などのサービス提供主体を
NPO・ボランティアなどにゆだねることによって、コストを抑える考えです。
「専門的なサービスが必要な方については、この限りでない」と、
田村厚労大臣は、付け加えました。
が、地域医療・介護の〈地域間格差〉を強く心配します。
第二の争点は、利用者負担の見直しでした。
この『法案』には……
「一定以上所得者(年収280万円以上)の利用者負担割合を
現行の1割から2割に引き上げる見直しや、
施設に入所する低所得者の食費・居住費を保険給付する補足給付、
また、一定額以上の預貯金などを持つ方を、給付対象から除外する見直しなどが明記されています。
所得により給付に差をつける……もっともらしく思えそうですが、
これもまた、コミュニティー崩壊などにつながらないか、心配です。