岩手県、宮城県、福島県……この3県で、
県内のプレハブの仮設住宅で暮らす人は、
未だに、97,000人を数えるという。
片や、災害公営住宅(=復興住宅)で完成したのは、
予定の3%に過ぎないらしい。
住宅建設の遅れの要因は、用地買収の難航が大きいという。
高台移転のための造成にも遅れが出ていて、
仮設住宅に暮らす住民からは、
「もう待てない」と、
自力で“新天地”を探す人も現れ、
自治体・集落の空洞化が、その深刻の度を増しているという。
「〈わが家〉を持てないと、始めの一歩が踏み出せない」という
仮設住宅で暮らす住民からの言葉も胸を刺す。
ある報道機関の被災者アンケートによると、
「必要とする支援」で最も多かったのが、
「住宅」だった。
帰還困難区域にある〈わが家〉に、
時間限定で〈帰宅した人たち〉の、
〈わが家〉の惨憺たる様相を目の当たりにした失意は、
たびたび、報道映像が伝えてきた。
避難解除が出されたものの、
ふたたび〈わが家〉で暮らすことを選択する人が少ない現実も
ここ最近、報道番組で知ることになった。
……津波で〈わが家〉が、跡形もなく流された。
……放射能汚染で〈わが家〉があるのに帰れない。
長引く仮設生活を取り上げた報道に接するにつけ、
将来の見通しが立たず、
立ち尽くしている住民の心の内……
そこにある〈わが家〉への強い愛着に、
加えて、〈わが家〉を見限る断腸の思いに、
改めて、〈わが家〉の存在の大きさを思い知ることになる。